「る、琉夏くんは、絵が得意……なの?」
「そうそう、そうなんだよ」
さっきとは違い、食い気味に返されて面食らう。
しかも、今日一番の目の輝きだ。
それくらい、絵が好きってことなんだろうか。
普通の高校生っていう部分が垣間見れて、警戒心も少しほどける。
「すげーんだよ、琉夏の描く絵。日本のアマチュアじゃ敵ナシで、海外のコンクールでも入選してるし」
椿くんは、まるで自分のことのように自慢気に言った。
「すごいっ!」
確かに、言われてみれば芸術家っぽいかも。
格好やセンスがほかの人と少し違うというか。
よく見ると、指がすごくきれい。器用なんだろうな。
「プロにならないかってオファーもあるのに、断ってんだぜ、コイツ」
「だって今しかできないこともあるわけじゃん? プロになったら責任とかそういうのめんどくさいし」



