大変!! どうしよう!!

顔面蒼白とはこのこと。冷汗をかきながら慌てて追いかけると、誰かの足もとが目に入り。

ピタリ。
その人物の足元でそれは止まり、


「……なんだ、これ」


低い声でつぶやきながら、その人はブローチを拾い上げた。


うわぁ……。
こんなタイミングで人が来るなんて。

身を縮めながら顔を上げて──私は息をのんだ。

……だって、彼がとても綺麗な顔をしていたから。


春らしいミルクティー色の髪は、切れ長の目に少しかかっていて。

すーっと筋の通った高い鼻に、艶っぽい唇。肌は白く、シミひとつない。

芸能人……? モデルさん……?

そう疑ってしまいそうなほど整った顔をした彼は、光の粉を浴びているかのように輝きを放っていて、私の目は彼にくぎ付けになってしまう。