「お、お願いします……」


そのまま私は、お姫様抱っこで病院の外まで運ばれてしまった。

色めき立つ、看護師さんや患者さんたちの視線と声を浴びながら。



タクシーに揺られてる最中。刹那くんが唐突に言った。


「アイツらが、寧々に謝りたいって言ってる」


ビクンッ。

体がこわばった。

アイツ……あえて名前は出さないでいてくれたけど、イコール琴宮さんたちだと分かっただけで、気分が悪くなる。

今は、会いたくない。


「わかった。無理しなくていい」


私の反応で察してくれた刹那くん。

隣に座る私の手をぎゅっと握る手は、とても温かかった。