──けど、白樺くんは私の前まで歩み寄って、言った。


「昼間は、悪かった」


それに反応したのは刹那くん。


「なんだよ昼間って」


ふてぶてしい声色に、リビングの雰囲気が一気に変わる。


「お前に関係ないだろ」


チラリと視線を注いで倒くさそうに答える白樺くんに、刹那くんは堂々と告げる。


「関係ある。寧々のことは俺がすべて把握する」

「彼女はまだ誰のものでもないだろ。彼氏づらすんなよ」

「……っ」


これには何も言えなくなってしまったみたい。

悔しそうに唇をかんで、部屋へ向かう白樺くんを見送る。


「あーらら、めずらしく刹那くん言いくるめられちゃったね」

「……黙れよ」


椿くんがそんな刹那くんを挑発して、もっと空気が悪くなる。


「おーこわっ」


椿くんは肩をすくめた。



……もう。

一緒の寮にいるのに、どうしてみんなで仲良くできないんだろう。

でも、それは私のせいなんだよね。

そう思うと、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。