ええっ!?

見上げると、そこには般若みたいな顔をした刹那くんがいた。


「刹那くんっ!」

「椿もかよ。ったく、油断も隙もあったもんじゃないな」


そう言って、髪をわしゃわしゃかきむしる刹那くん。


「なんだよ邪魔すんなよー」


頭を押さえる椿くんは、すっかりいつもの椿くんに戻っていた。


「こっちはいつも邪魔されてんだよ」


刹那くんは、バリ島のパンフレットを丸めるとぱこっと椿くんの頭をはたく。


「寧々、もうどこにいても危険だ。これからずっと部屋にいて」


ピシッと部屋を指さす刹那くん。

私、もう自分の部屋しか居場所がないの!?

それはそれでいやだなあ……。


──ガチャ。

ドアが開く音がして、みんな一斉に目を向ければ、そこには白樺くん。

夕飯に姿を見せなかった彼は、今帰ってきたみたいだけど、昼間のことがあるから、私はとっさに目をそらしてしまった。