見下ろす鋭い瞳にたじろぐ。

ここでの"アイツ"もきっと、さっきの"アイツ"と同じ。

私が答えられないでいると、


「あんな奴に取られてたまるかよ」


突然手首をつかまれた。強引だけど、痛くはなかった。


「俺のこと、好きになれよ」

「……っ」

「好きなんだよ」


憂いを帯びた瞳が、私を見つめる。


「ど、どうして、わ、私……」


好きになってもらう理由が分からないよ。

やっぱり……ローズだから……?
 

「俺は、怖がられるだけで、今まで誰も近寄ろうとはしなかった」


そう語るその瞳は、どこか寂し気。

学園長の息子っていう肩書きもあって、いろいろ苦労もあったのかも。


「そんな俺に、声をかけてきたのがお前だ。無防備に近寄って、弁当を分けてくれただろ」