「選挙のこと……ありがとう」


私がしゃがんで白樺くんに目を合わせると、少し照れくさそうに目線を外した。

怖いって恐れられてる白樺くんも、照れ屋さんなのかも。

お弁当をおすそ分けした時もそうだったよね。


「……礼ならアイツに言ったら?」


口先だけで、ぼそっとつぶやく。


「……あいつ?」

「アイツが必死になって頼んできやがった」

「……」

「……この学園の模範生だよ。わかるだろ」


アイツ、を必死に考えていた私に、分かりやすく伝えてくれた。皮肉っぽく。


「刹那、くん……?」


『──来た』


白樺くんが現れたとき、刹那くんはそう言ってた。

それは、来るのを待っていたからだったんだ。


「お前の2票を無駄にすんな。投票はどっちにしてもいいからって」