「そうじゃねえよ」


しかも、怖い。

大股で歩いてきた琉夏くんは、私のリボンを雑に外すとシャツのボタンを二つ外し
た。

ひっ!

大事なローズのリボンが、雑にベッドの上に放り投げられる。


「……っ!」

「悪ぃ、いつもの癖で」


固まった私を見ると、琉夏くんはハッとして頭を乱暴にかきながら椅子に戻って行く。


「だ、だいじょうぶ……」


はーーー、ちょっとびっくりした。

けど、それくらい絵に集中してるってことだ。

すごいなあ。


「そうそう……いいよ」


ふっと目元が柔らかくなって、そう言われるとうれしくなる。

琉夏くんに、惹かれる女の子の気持ちが分かったような気がした。

女たらしとか、女遊びが激しいとかそういう噂を知ってもなお、彼に惹かれる女の
子の気持ちが。