選挙を来週に控えた土曜日。

リビングのソファで、久々にのんびりテレビを見ていたら、


「なあ」

「うわあ、びっくりした!」


いきなり琉夏くんが現れるからソファから飛びあがってしまった。


「……なんだよ、んなに驚いて。ちょっと手伝ってほしいことあんだよ」


バツが悪そうに突っ立つ琉夏くんは、親指を自分の部屋の方に向けた。


「な、なんでしょう……」


なんとなく、琉夏くんと話すときは敬語が出ちゃう。

ミルクレープ事件があってからは、少しはマシになったけど。


「とにかく、来て」


それだけ言うと、さっさと歩いて行ってしまう。