「私、ずっと気になってたんですけど、なかなか勇気が出なくて」

「でも、先輩の頑張り、ずっと見てました!」

「選挙では、来栖先輩に票を入れますから!」


彼女たちは、琴宮さんを恐れもせず堂々とそう言ってくれる。

ほんとに……?


「よかったな。早くいきなよ」


嬉しさのあまりぼーっとしていた私の背中を刹那くんが促す。

その顔は本当に嬉しそうで、ようやく現実味が帯びてくる。


「う、うんっ!」


私はカゴを大事に抱え、廊下へ飛び出した。



「あなた、頑張ってるわね」
「ひとりじゃ大変でしょ? 私たちも手伝うわ」


それからは、下級生だけじゃなく、同級生や先輩もお菓子を手にしてくれる人が出てきて、さらには活動する側に回ってくれる人が現れたんだ。

頑張ってれば、見てくれてる人は必ずいる。

刹那くんの言う通りだったよ。

嬉しくて、涙が出てきそう……。

今では、刹那くんと椿くんもフルでお菓子づくりを手伝ってくれて、40~50個用意するようにしても全部なくなってしまうほどだった。