「やだ。落ちたものなんて、もう誰も食べれないわよね~」
床を見つめながらでもわかるこの声は、琴宮さん。
……琴宮さんの行列にぶつかったらからこうなったの。
って言いたい気持ちをグッとこらえて。
拾わなきゃ。
みじめな気持ちで床に落ちたそれに手を伸ばすけど、誰かの手の方が早かった。
え──と顔を上げると。
「俺は食えるけど」
ミルクレープを拾ったのは、
「琉夏くんっ!」
「えっ、どうしてっ!?」
ざわざわ。
人気者の彼の登場に、あちこちからあがる声。
「……っ!?」
「やだ、なんで?」
驚いているのは彼の行動に、だ。
私だってそう。
拾ってくれたことにもびっくりだけど、それを袋から出して口へ入れたのだ。



