「おまえ……泣いてんの?」


放心状態だったのか、我に返った琉夏くんは、頬に涙を残したまま椿くんを見て。


「……うるせーよ」


そのあとは一言も言葉を発しないまま超高速で食べきって。

早々と部屋へ引き上げてしまった。

異様な空気感に、残された私たちのあいだにも、微妙な空気が流れていた。


「……お口に合わなかったのかな?」


泣くほどまずかった、とか。


「んなわけないだろ。こんなに綺麗に平らげて」


刹那くんの言う通り、ご飯一粒残さず、並べたお皿のものは食べてくれている。

じゃあ、あの涙は一体……。

琉夏くんと涙、というあまりにも不釣り合いなそれに、胸の中がずっとざわざわしていた。