どくん……どくん……。
拒むこともできたけど、私には拒む理由なんてなくて……。
ゆっくり刹那くんの顔が近づいてくる──と。
──ガチャ。
リビングのドアが予告もなく開いた。
「う~ん、いい匂いがする~!」
匂いにつられてやってきた椿くんが、鼻をクンクンさせながら現れたのだ。
ひゃっ!
咄嗟に刹那くんから離れる。
こんなところ見られたら大変っ!
「ほんとタイミング悪い男……」
刹那くんはチッ……と舌打ちして、ギロッとにらむ。
一気に頭が冴えて、いま、自分がなにをしようとしていたのか理解した。
「刹那もいるんじゃん。俺も呼んでよー抜け駆け禁止!」
「そ、そんなつもりはっ。椿くんもぜひ一緒に!」
椿くんは、数すくない私を応援してくれている大事な仲間。
だけど……。
もし、椿くんが来なかったら、私たちキスしちゃってたのかな?
そっと唇に触れて、
どこかで残念だと思ってる私は、刹那くんのキスを受け入れたかったの?
自問自答すればするほど、体は熱くなるばかりだった。



