私も、挙演説をした方がいい?
でも、なんて?
どの分際で、私に投票してくださいって言えるんだろう……。
教室に戻ると、待っていたかのように琴宮さんが私の元へやってきた。
「来栖さん」
「は、はい……」
「これ、もらってる?」
ピシッと突き付けてきたのは、1枚の紙。
「選挙活動上の注意だからよく読んでおいてね」
一方的に渡すその目には、”さっきの放送聞いた?”と言わんばかりの色がにじんでいる。
勝ちを決定づけるような笑いを残し、琴宮さんは私の前から消える。
なんとかそれを指先でつまんだ私。
そこには、お金や高級品を渡したり、投票するように圧をかけるようなことはしてはいけないなど、いくつかの注意事項が記されている。