「すげえこと申し立てられたな、アンタ」


琉夏くんにポンと肩に手を乗せられて、我に返る。


「琴宮妃花と一騎打ちするんだ」


つまり、そういうこと。

琉夏くんがそう要約するように、この書面を見ると、私と琴宮さんでどちらがローズにふさわしいか、選挙をするみたい。

琴宮さんの周辺が最近静かだったのは、これを準備していたからだったんだ。

まさに、嵐の前の静けさってこのこと……。


「ははっ、ははっ……」


人って、ほんとに混乱すると笑うんだってことを身をもって体感する。

ぜんぜん笑えることじゃないのに、笑いが出てきちゃうんだ。


「それはそれは正当な異議申し立てをしたらしく、生徒会としても可決せざるを得なかったらしいよ」

「エクセレントに関する事項だから、俺らに決済の権限はなかったってことか」


琉夏くんが続け、椿くんはうなずいて頭を抱える。