泣く子も黙るように眉根を寄せた顔でそれを受け取った琉夏くんの顔が、さらに険しくなる。
無言のまま、文字を追うように目が左右に動いて、
「ん」
私に突き付けた。
……へ? 私? なに?
受け取って、一瞬頭が混乱した。
「えっとぉ……」
目に飛び込んできたのは、”琴宮妃花の申し立てによる、ローズ交替に伴う選挙開催”の文字。
この書面は、表題の決議が通ったことを通知する文書だった。
これはいったい……。
「なんだよ、見せろ」
紙に目を落としたまま動かない私の手から、刹那くんがをそれ奪う。
そしてしばらくの沈黙ののち、「ありえねえだろ」とつぶやいた。