「やっぱり決めた」

「な、なにを……?」

「なんでもいいんだよね?」


それは、お礼のことみたい。


「あっ、うん。……私にできることなら……」


そう言ったのは私だから。

すると、突然視界が遮られて真っ暗になった。


えっと……これは……?

甘い香りいっぱいに包まれてるいまの状況がよくわからない。

どうして私は抱きしめられてるの?


「お前が、ほしい」

「…………」


そ、それはいったいどういう意味……!?

パニックで何も言えずにいると、ふたたび。


「俺のに、なってよ」

「えっとお……」

「だめ?」


眉毛をわずかに上げて訪ねてくる彼に、私はただ口をパクパクするしかできない。

俺のって、どういう意味?

キョトンとする私に、さらにありえないことを告げた。


「絶対俺のにするから。じゃあ、また」


刹那くんはやわらかく微笑むと、ぼう然とする私を置いて歩いて行った。