「あの~」
声をかけても、身動きしなくて。
頭の上から覗き込むように声をかけると、彼はようやくまぶたを持ち上げた。
一瞬光に目をほそめたあと、私を視界にとらえたようで、目に力を入れた。
ひっ!
眉間にできたシワを見て、怒らせてしまったかも……と身構えたけど。
「……またおまえかよ」
思いのほか、声はやわらかかった。
私のことも覚えてくれていたみたい。
「いま、何時?」
「1時20分です」
問いかけに、スマホを確認して告げれば「もうそんな時間か……」とゆっくり体を起こす彼。
……一体いつから寝ていたの? 授業は?
疑問はいろいろあるけれど。
「あのぅ……これ、よかったら食べてください」



