そっと脱衣所のドアを開けると、温かい空気が充満していた。


「あ、あの~」


そろそろと声をかける。

お風呂場の曇りガラスには、肌色の人影が映っている。

こ、これは刹那くん……!?

とびら1枚隔てた向こうには、ハダカの刹那くんがっ……なんてよからぬ想像をした直後、

───ガラッ!


「ひゃあっ!」


心の準備もできないままにいきなり扉が開いて、私は思わず両手で目元を隠した。


「……っ」


刹那くんもまさか私がいるとは思わなかったのだろう。

息をのんだ気配が伝わった後、すぐに扉は閉められた。


「……なんで、寧々が……」


戸惑ったような声が響く。

やっぱり私はお呼びじゃないデスヨネ。


「ご、ごめんなさい。誰もいなくて、椿くんも部屋で電話をしているみたいだったのでやむを得ず……」