……え?

会話の途中になにごとかと見上げた私たちを無視して、乱暴にスマホをつかむとそのままダイニングを出て行ってしまった。

バタンッ。

大きな音を立てて閉まるドアに、びくっと肩を震わせた。


「……地雷ふんだな」


ぽつり、と刹那くん。


「えっ? なになに? どういうこと?」

「アイツ、母親亡くしてんだよ」


……っ。

息を飲む。……そうだったんだ。

私、なんだか失敗ばかりだな……。

いつ亡くなったのかはわからないけど、昔だったとしても、最近だったとしても、その悲しみの大きさに変わりはない。

こうやって、お母さんの話を聞くだけでもつらいかもしれない。

なのに、私ってば……。

頭の上に、ポンとやさしく手が乗った。


「琉夏は一晩寝たら忘れるから。明日の朝にはケロッとしてるよ」


刹那くんのやさしさに、私はさらに鼻をずずっとすすった。