「ほんとにひとりで大丈夫……?」
駅の改札の手前。お母さんは今にも泣きだしそう。
「大丈夫だよ、心配しないで!」
同じく泣きそうになるのをぐっとこらえる私──来栖寧々はこの春、高校2年生になるタイミングで、全寮制の白凰学園に編入することになって。
明日の始業式に備え、今から学園へ向かうところ。
どうして編入することになったかというと。
両親が仕事の都合で海外に転勤が決まり。
そこは治安が悪いから私を連れて行くのが不安、でもひとりで日本に残すのも不安。
なら、全寮制の学校に通えば安心!
ということで、1年間通った高校を転校し白凰学園へ行くことになったんだ。
「寂しくなったらいつでも電話しておいで」
私とそっくりだと言われる目で優しく微笑むお父さん。
「うんわかった。じゃあ行ってきます!」
お父さんとお母さんのほうが慣れない国での生活を前に不安がいっぱいなはず。
そんな二人に心配はかけられないもん。
私は頑張って笑顔を見せて、改札をくぐった。