ビクッ!

本に目を落としながら言われて、肩が思いっきり跳ね上がった。


「び、びっくりしたあ」


気づいてたの!?


「それ、こっちのセリフだよね」


パタンと本を閉じた伊緒くんが、こっちに視線を向けた。

だ、だよねっ。


「ご、ごめんね。真剣に読んでるから邪魔しちゃいけないかと……」


私はへへへっと笑いながらリビングへ入って、ソファの上にカバンを置いた。

テーブルの上には、入学式の時に見たあの巻物が。


「そうだ、伊緒くんが新入生の挨拶するなんて聞いてなかったよー!」


びっくりしちゃったよーって言いながら、すとん、とソファに腰を下ろせば。


「言ってないし」


うっ……。相変わらずの塩対応。
でもめげない。