もしかしたら、モモは忘れてるのかもしれない。

シュンのことが好きだったことを。

思い出せば、俺と被って──


「私は、キライだけど」


────は?????

いま、なんつった?

シュンが、キライ?

俺の耳はおかしくなったのか?

モモの口から出てきた言葉が理解できなくて、固まってしまう。

藤代高校の特進に通ってる俺が、モモの言葉を理解できないなんて。


「ど、どしたの伊緒くん。なんかアゴが外れそうだよ……」

「……っ」


そう言われて、とんでもなくマヌケ顔になっていることに気づき、「んんっ」と咳払いして、顔をただす。


「そ、その、モモはシュンのこと、す、好きだったんじゃ、ないのかよっ」