なにか不都合でもあるのかな?


「……まさかとは思うけど、貸切になんてしてないわよね」

「え!?」


そ、そんな……。


「逆にしないわけがないじゃーん!もうようちゃんはおバカさんで可愛いなぁ」


ようちゃんをいじめるのは楽しいなぁ〜。


「ふふっ、あはは……そうよね。一応颯はあの如月の御曹司なんだから……」


はぁ……と可愛すぎるため息をついているようちゃん。


「ため息すると幸せが逃げていくんだよ」
 
「はは……十分幸せだからいいわ」


なにそれ、嬉しい……。

でも……。


「ようちゃんのため息、俺が吸——」

「やめなさい。さすがに気色悪くなるわよ」

「ぷー……」

「あざといことしてもだめ」


ふふっ、ようちゃん怒ってるのかな?

可愛いな。
 

「えへへ〜」

「はぁ……颯は可愛いわね」

「それはようちゃんだよ?自覚しなよ」

「私もそこまで美人じゃないわよ」


……ようちゃんは、大人っぽいくせに鈍感で無自覚で純粋だ。


「まぁ、少しはいい方……だと……思いたいけど……」

「ふふっ、ようちゃんよりも美人な人はいないよ」


そう言って優しく頭を撫でてあげると、嬉しいのかにこにことしたようちゃん。