ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「一緒にファーストクラスにしろと言ったのに」
と言う桔平に侑李は、

「いえ、落ち着きませんので、新婚さんと一緒だと」
と言ったが。

 まあ、幼なじみとはいえ、上司。

 離れてゆっくりしたいのかもしれないなと思った。

 っていうか、新婚さんって、結婚したのは五年前なんだが……。

 では、ドバイで、と微笑み、侑李はいなくなる。

 いや、同じ飛行機なんじゃないんですか。

 いいじゃないですか、まだ一緒にいても。

 気を利かせているのでしょうか。
 利かせなくていいんですが、と思いながら、ちょっと寂しく侑李を見送った。

 騒がしい空港に、桔平と二人で取り残されてちょっと困る。

 チラ、と桔平を見上げ、窺ってみたが、

「時間はまだある。
 ラウンジで少し休むか」
と桔平は視線を合わせずに言ってくる。

 すっとスーツケースを持ってくれた。