夜風のような君に恋をした

読み過ぎてボロボロになった漫画、着古した高校時代のジャージ、小学校の時に地元のサッカーの大会で貰ったトロフィー。

廊下は見たこともないほど荒れてるのに、薄闇の中にぼうっと浮かんだお兄ちゃんの部屋のドアは、やっぱり閉じた貝のように静まり返っていた。

家の外から、新聞屋さんのバイクの音と、ポストに新聞を入れるカタンという音がする。

窓の外は、いつしかうっすら明るくなっていた。

やっと、夜が明けるようだ。

私はお兄ちゃんの投げた物が散乱した廊下の真ん中に、へなへなと腰を落とした。

そしてうずくまり、自分の膝に顔を埋めるようにして、声も出さずにひたすら泣いた。