夜風のような君に恋をした

友達と面倒事を起こしてはいけない。

学校では皆に好かれないといけない。

そんな目に見えない制約は、やがてがんじがらめのしがらみとなって、私を縛りつけた。 

透明の縄に身動きを支配され、世間体という名の水底に沈められ、窮屈さにあえぐ日々。
 
やり場のない怒りは、やがてその原因を作ったお兄ちゃんに向くようになった。
 
お兄ちゃんなんて、大嫌い。
 
わがままで自分勝手で、周りが見えていない。
 
自分がどれだけ周りを不幸にしているか、何もわかっていない。

まるで貝のように、昼も夜も、トイレかお風呂に行くとき以外は開かないドアを、何度も何度も睨みつける。
 
いっそ、いなくなって欲しいとすら思ったこともある。

いつしか私の目には、お兄ちゃんが、私に悪害を加える得体のしれない存在にしか見えなくなっていたんだ。