夜風のような君に恋をした

雨月のことをとりとめもなく考えながら、夕暮れのひとりぼっちの部屋で、布団に沈み込む。

夜の景色を眺める彼女の横顔と、夜風にサラサラと触り心地のよさそうな黒髪がなびいているのを思い出す。

うすうす、気づいていた。

彼女の小さな口から語られる、“今日あったいい出来事”を耳にしたとき。俺はどういうわけか、すさんだ胸の奥に小さな温もりがともったようになって、微かな喜びを感じるのだ。

たとえ爪の先ほどのかすかな温もりでも、逃れられない闇の中をひとりさ迷い続けている俺にとっては、唯一の光だったんだ。