夜風のような君に恋をした

「敬語やめてよ、多分同じくらいの年だし。その制服、Y女子だろ? 何年生?」

「……一年生」

「なら同い年だ。敬語使うの、変だからやめて」

そう言った彼の物言いは相変わらず上から目線だったけど、昨日とは違って、どこかしら柔らかかった。戸惑いながらも、私は小さく頷く。

「うん、わかった」

「俺も――」

すると彼はすうっと息を吸い込んで、私から視線を外しながら言う。

「この間は言い過ぎたって思ってた。先を越されそうになったから、ムカッとしてさ」

「……先を越されそうになった?」

彼の言っている意味がわからず、首を傾げる。

すると彼は、なんてことない世間話のように淡々と言った。

「俺、昨日、ここから飛び降りて死ぬつもりだったんだ」

思いがけない彼のセリフに、目が点になる。

「死ぬって、本気で……?」

「自分では本気のつもりだったよ。だけど君を助けたあと、我に返ってやめた」

私は返す言葉を失い、しばらくの間、ただ唖然と彼を見つめる。

とてもじゃないけど、死にたいって思っているような人には見えなかったから。

「……だけど昨日、死のうとした私に説教してなかった?」

今から死のうと思っている人が、普通、説教なんかするだろうか?

「自分でも不思議なんだけど――」