夜風のような君に恋をした

「でもこうやって話してみると、不自然なくらい元気そうだね。いい人ぶるのにもう疲れたってとこ?」

彼の言葉がズドンと胸に刺さって、背筋を震わせる。

あまりにも的中していたから……。

唇を懸命に引き結んでも、小刻みに震えているのがわかった。

私ってそんなわかりやすい人間だったんだろうか?

いいや、違う。

お母さんも、クラスの子たちも、先生も、芽衣も、私が自分を作っていることになんか気づいていない。

私はいつも、“理想の自分”を完璧に演じているはずだ。

それなのに――。

急に彼が怖くなって、自然と距離を取るように、一歩後退していた。

「あれ? もしかして、当たっちゃった?」

口の端を上げて、意地悪な笑い方をする彼。

まるで嘲笑うような口調だった。

恐怖の中に、今度は怒りが込み上げる。

どうして初めて話した彼に、こんな嫌な言い方をされないといけないのだろう。

「……だとしたら、何なんですか?」

「別に。思春期って大変だなって思って」

人ごとのように言って、また彼は意地悪く笑った。

「自分を見失って消えたい気持ちはわかるけど。とりあえず、“かわいそうな自分”に酔うのはやめたら? 自分をかわいそうにしているのは、本当は周りじゃなくて自分自身なんだから」

「なんでそんなこと……」

赤の他人の彼に言われないといけないのか。

それに何なんだろう、この上から目線。