夜風のような君に恋をした

お兄ちゃんの顔には、よく見ると、顎から頬のあたりにかけて傷跡があった。

その部分だけ肌がミミズのように膨らんでいて、少し痛々しい。

「お兄ちゃん……」

「お、やっと喋った」

お兄ちゃんが、安心したように目を細める。

あのお兄ちゃんが、笑ってる……。

信じられなくて、夢でも見ているようだ。

「本当に、お兄ちゃん……?」

「何だよ、当たり前だろ? お前、さっきから変だぞ。とりあえず、こんなところにしゃがんでたら変なやつだと思われるから、立てよ」

お兄ちゃんに二の腕を掴まれ、引っ張り上げられるがままに私は立ち上がった。

そこで私は初めて、お兄ちゃんの斜め後ろにいる人影に気づく。

百八十センチ近くあるお兄ちゃんよりも、さらに少しだけ高い身長。