夜風のような君に恋をした

だけど、そのとき。

「雨月?」

背中から、どこかで聞いたような声がした。

あまりにも聞き覚えがある声。

だけど――

「お前、何やってんの? 塾の帰りか?」

――何か、変だ。

涙で濡れた顔で、ゆっくりと声のした方を振り返った私は、瞬時にはすべてを理解することができなかった。

なぜなら、そこに立っていたのが、お兄ちゃんだったから。