夜風のような君に恋をした

「私……」

あることに気づいた私は、震える右手を反対側の掌で握り込む。

全身から血の気が抜けていくような感覚に襲われた。

「冬夜の手、放した……」

私はやっぱり大バカだ。

高架を離れていたのだから、冬夜の手をほどけば、私の存在は五年後に戻されてしまう。

だけどとっさにそのことを判断できなくて、あのとき手を離し、冬夜を庇ってしまった。

私が消えた五年前の世界では、トラックは私の残像をすり抜け、冬夜に激突しただろう。

「うそ……」

全身を震わせ、その場にしゃがみ込む。