夜風のような君に恋をした

迫りくるエンジン音とともにどこからか悲鳴が聞こえてきて、背後に鮮烈な光が射した。

反射的に後ろを振り返った私は、信じられない光景を目の当たりにして、息が止まりそうになる。

「え……?」

ヘッドライトを煌々と光らせたトラックが、全速力で、みるみる私たちのもとに迫ってきていた。

あと数秒でぶつかる距離。

もう逃げられないととっさに判断したのは、コンマ何秒かの思考時間でだった。

そんな中で、唯一スローモーションのようにゆっくりと目に映ったのは、車道側を歩く冬夜の姿。

私と同じく背後を振り返り、凍りついている冬夜は、あまりに唐突に訪れた今のこの状況が呑み込めていないようだった。

――まさか。

だけど私は、瞬時にすべてを悟った。

冬夜は今夜、あの高架から転落して、死んでしまうはずだった。

だけど私が冬夜を助けたから、この先は、私の知っている世界とは変わってしまう。