夜風のような君に恋をした

前に、お兄ちゃんが言ってた。

夜はお化けが出歩いてるけど、誰かと手を繋いでたら、大丈夫なんだって。

子供騙しにしか聞こえないセリフだけど、こうやって冬夜と手を繋いで歩いている今は、あながち嘘でもなかったことに気づかされる。

前だってそうだった。

冬夜のシャツの袖を握っていたら、家の近くまで彼と一緒にいられたからだ。

思うに、私が五年前の世界に行けるのは、午後九時過ぎのあの高架の中でだけだ。

だけど冬夜と何かしら繋がっていたら、高架を抜け出して、さらに遠くまで行けるらしい。

こんな風に男の子と手を繋いで道を歩いたことなんて今までなくて、急に恥じらいが込み上げる。

そういえばさっき告白したし、抱き合いもしたよねと、今さらのように逃げ出したい衝動に駆られた。