夜風のような君に恋をした

まるで夜風が運んできたみたいに、唐突に私の前に現れ、そして悲しげに遠くを見ている。

――空も、星も、月も、雲も、夜のすべてが泣いて見えた。

それくらい、欄干の向こうの夜の景色に目を奪われている彼は、そのきれいな横顔を悲しみでいっぱいにしていた。

「………っ」

見ているだけで、涙が込み上げてくる。

何が彼を、ここまで絶望に追い込んだのか。

深い悲しみの底に突き落としたのか。

彼は以前、私に言ったことがある。

『自分をかわいそうにしているのは、本当は周りじゃなくて自分自身なんだから』と。

のちに彼は、あれは自分自身に言いたかったセリフなんだと告白した。

冬夜は、きっと優しすぎたのだ。

弱いのではなく、優しすぎるから、すべてを自分のせいにして、抱え込んでしまったんだ。