夜風のような君に恋をした

お母さんを満足させるために夜遅くまで塾で必死に勉強して、学校で孤立しないために友達に話を合わせて――。

こんな窮屈な毎日を、永遠に繰り返さないといけないんだろうか。

永遠なんかじゃないって、誰かが否定するかもしれないけど、先が見えないのは永遠と一緒だ。

終わりのないしがらみの中を、私は息を殺して、自分を殺して、歩き続けなければならない。

いっそのこと、この闇の中に溶けて消えてしまえばどんなに楽だろう。

救いを求めるように、欄干から宵闇に手を伸ばした。

何もかもを飲み込んでしまいそうな真っ暗な夜の世界だけが、本当の私を受け入れてくれるように思えた。

自分を偽りすぎて、本当の自分なんて、もう忘れかけているけど――。

そのときだった。

グラリと体が傾くのを感じて、背筋をぞわっと冷たいものが走る。

「……え?」