「兄は家で、何も話さない人だったんです。学校で何したとか、友達とどこに行ったとか、そういうのを一度も聞いたことがなくて。だから楽しい経験が何ひとつないまま死んでしまったんじゃないかと、悲しかった。でもちゃんと友達がいたんだってわかって、正直ホッとしてるんです」
言葉通り、どこかホッとしたように語る宵くんの声に、私は知らず知らず頷いていた。
宵くんの言うように、たしかに冬夜は家では誰とも話さないと前に言っていた。
家には居場所がないって。そして、そんな自分の存在が、弟に申し訳ないとも……。
「……お兄さんのこと、大好きだったんですね」
そう言うと、宵くんは澄んだ目を見開き、そしてまた泣き笑いのような顔でこくっと頷いた。
「私の兄も、お兄さんのこと、大好きだったんだと思うんです。お兄さんが亡くなってから、自分を見失ってしまうほどに」
冬夜は、考えただろうか。
自分が死が、こんなにも人に影響を与えてしまうことを。
きっと、考えなかったんじゃないかと思う。
言葉通り、どこかホッとしたように語る宵くんの声に、私は知らず知らず頷いていた。
宵くんの言うように、たしかに冬夜は家では誰とも話さないと前に言っていた。
家には居場所がないって。そして、そんな自分の存在が、弟に申し訳ないとも……。
「……お兄さんのこと、大好きだったんですね」
そう言うと、宵くんは澄んだ目を見開き、そしてまた泣き笑いのような顔でこくっと頷いた。
「私の兄も、お兄さんのこと、大好きだったんだと思うんです。お兄さんが亡くなってから、自分を見失ってしまうほどに」
冬夜は、考えただろうか。
自分が死が、こんなにも人に影響を与えてしまうことを。
きっと、考えなかったんじゃないかと思う。



