夜風のような君に恋をした

午後九時過ぎ、塾からの帰り。

一日の疲れが肩にどっとのしかかるのを感じながら、私は夜の街を歩いていた。

学校から直接塾に向かったから、制服のままだ。

制服を着ていると、いつまでも学校というしがらみにつきまとわれているようで、気が重い。

片道二車線の大通りに差しかかる。

道路を超えて向こう側に渡りたいけど、ここから横断歩道まではけっこう距離があるから、ショートカットのためにいつも通り高架に上った。

早く制服を脱ぎたいけど、あの家に帰るのは気が重い。

だんだん憂鬱になって、高架のど真ん中で自然と歩調が緩んだ。

救急車のサイレン音が、遠く物悲しげに鳴り響いている。

薄黄色の車のヘッドライトや、オレンジ色の道路工事のネオン。

暗い夜の世界では、今日も色とりどりの光がせわしなく瞬いていた。

白い高架の欄干に両手を乗せ、それらの情景を眺めているうちに、突然、やりきれない思いが込み上げてくる。

気づけば私は、闇に向けて、ボソッと本音を吐き出していた。

「死にたい……」