夜風のような君に恋をした

「こんな一生懸命な雨月ちゃん、初めて見たもん。私、力になりたい。市ヶ谷くんも、きっとわかってくれるよ。お兄さんのことで、雨月ちゃんもずっとつらかったね、苦しかったね」

そう言って、気遣うように声をかけてくれる芽衣。

まるで自分のことのように今にも泣きそうになりながら微笑んでいる彼女に、私は一瞬にして目を奪われた。

芽衣の目があんまりきれいで、心からそう言ってくれているのがわかる。

だから私はそのとき、自分を偽ることを忘れて、素直に頷いたんだ。

「うん……」

そう、つらかった。

誰かにわかって欲しかった。

ずっとずっと、打ち明けられる存在が欲しかった。

自分でも知らなかった心の声が、胸の奥からじわじわ溢れ出ていく。

「雨月ちゃんがそうやってつらいこと話してくれて、うれしい。雨月ちゃんはいつも完璧すぎるから、心配だったんだ。かわいくて、勉強できて、誰の悪口も言わず、誰にでも優しくて……。自分の弱さを隠してるみたいで、どうして私に見せてくれないんだろうって、寂しかった」

「芽衣……」

思いもしなかった芽衣の言葉に、心が震える。

こんなにも近くに優しい理解者がいたのに、どうして私は気づかなかったのだろう?

芽衣のこと、合わないとか、一緒にいるとしんどいとか思ってばかりだった私は、本物の大バカだ。

芽衣はちゃんと私のことを見てくれていたのに、私は芽衣のこと、知ろうともしなかった。

勝手に決めつけて、周りが見えていなかった。自分のことしか考えていなかった。