夜風のような君に恋をした

芽衣に向けられている周りの視線が冷ややかだ。

出会いの少ないこの学校の生徒にとって、彼氏ができることは、最高の栄誉なのだ。

それが自分以外の誰かに降りかかったのが、面白くないのだろう。

同じ白のYシャツに赤いリボン、グレーのプリーツスカート。

同じ靴下、同じ上靴、同じ机、同じ教科書、同じバッグ。

気味が悪いくらいに揃った完璧なこの世界で、皆突出した存在になろうと必死なのだから。

「そうだ! 雨月ちゃん、これ見て」

スマホの画面をスクロールさせて、芽衣がショッピングサイトを見せてくる。

そこにはなんとかっていう名前のふわふわした熊キャラクターのぬいぐるみキーホルダーが映し出されていた。

芽衣は、最近中高生を中心に流行ってるらしいこの熊キャラが大好きで、スマホケースやペンケースはこの熊キャラ一色だ。

「昨日見つけたんだけど、新発売のこのキーホルダー、すっごくかわいくない? ねえ、おそろいで買おうよ」

「んー。いいよ」