夜風のような君に恋をした

そのとき、隣の席の椅子をガラッと引く音がした。

キャラメル色のふんわりショートボブを揺らしながら首を傾げ、私の顔を覗き込んでいたのは、友達の芽衣だ。

「雨月ちゃん、久しぶり! 元気だった~?」

綿あめみたいにかわいくて、周りを和ませる雰囲気の女の子。

休憩時間のたびにお喋りして移動教室も一緒に行く、私にとってはそういう存在だった。

「雨月ちゃんに、ずっと会いたかったんだよ。でも塾が忙しいんだろうなって思って、連絡するの我慢してたの!」

「そうだったんだ。私も芽衣に会えてうれしいよ」

わーん、と抱き着いてきた芽衣の背中を、優しくポンポンと撫でる。

中高一貫のこの学校に、高校から入る子は少ない。

このクラスの内部進学生はすでにグループ化していて、スポーツ推薦で高校から入ってきた子たちの輪にも入りづらく、残された外部進学生の私と芽衣は必然的に一緒にいるようになった。