夜風のような君に恋をした

一重のアーモンド形の目が、みるみる大きく見開かれる。

「雨月……」

夜の空気に溶け込んでいく、耳心地のいい声。

「もう、会えないかと思った……」

そう言った彼の声は、微かに震えていた。

今宵の冬夜は、見たこともないほど小さく見える。

もともと色白なのもあって、真っ黒な海の中で人知れず輝く夜光虫のよう。

すぐにあぶくと化して、消えてしまうんじゃないかと心配になるような儚さ。

「ちょっといろいろあって、来れなかったの。元気だった?」

今度こそうまく愛想笑いをするつもりだったのに、冬夜があまり悲しそうな顔をするから、心が揺れてしまう。

冬夜は私の問いには答えず、押し黙った。

それからボソッと、聞こえるか聞こえないかの声量でつぶやく。

「嫌われたかのかと思った……」

冬夜はずるい。

そんな泣きそうな顔をされたら、あれは同情なんかじゃなくて、やっぱり私のことを特別に思ってるんじゃないかって、勘違いしてしまう。

心臓をぎゅっと握られたように胸が疼いて、いたたまれなくなる。

「死にたがりなのに、人に嫌われるのが怖いの?」

自分の胸の痛みを誤魔化すように、冗談めかして意地悪なことを言うと、冬夜はますます泣きそうな顔をした。