夜風のような君に恋をした

一ヶ月ちょっとぶりに制服で最寄り駅に行き、改札を抜けて駅の階段を上る。

他校の女子高生たちのはしゃぎ声を耳にしながら、単語帳に目を落としつつ、電車に乗り込んだ。

新学期初日のせいか、なかなかの込み具合。

人の体に当たらないようにして奥へと体を滑り込ませ、つり革につかまる。

九月に入ったばかりの今日は、天気予報で言っていた通り、朝からすでに蒸し暑い。

女子高生たちの絶え間ない話し声、潜めた呼吸、咳払い。

そんなものに息苦しさを覚え、ふと見た窓の向こうの空は、やっぱり皮肉なくらい澄んだ水色だった。

線路をガタゴトと突き進む電車は、私をまた学校という名の監獄に連れて行く。

行きたくない、でも行かないといけない。

苦しい、泣きたい、逃げ出したい。

そんな思いを抱えながら、やっぱり私は何もないような顔をして、単語帳に目を落とすのだ。