意識なんかしていない、そう自分に言い聞かせて無駄に五月蝿い心臓と付き合って早七日目。


いくつかの村を経由しながら魔物の討伐依頼を受け、着々と大森林へと近づいてはいた。


だけどあの日の夜以来、私の心臓はやけに活発的に動いては穏やかになる事が少なくなっていた。


ジルに謎の指導の宣言をされてからというもの、困ったことに慣れない異性との関わりを強引にさせられていた。


「リゼ、足元が不安定だ。俺の腕に掴まれ」


「結構よ」


「無理はしなくていい、ほら」


この通りジルは私に対しておかしな言動が見られるようになっていて、頭を悩ませている。


たかが少し抜かるんだ地面を歩くことくらい子供にだって出来る事だというのに、異常なまでに私に楽をさせようとする。


伸ばされた手を掴むことなく私は自分の足だけで前へと突っ切ると、やれやれと首を横に振りながら私の隣にやってきたジルが顔を近づけてきた。



「そこはお言葉に甘えてと腕を組むのが普通だろ」


「あのねえ、あなたのその発言自体が普通じゃないの!」



知ってるんだからね、そうやって遅れを取るようなことをしたらこの旅での契約が切れるって事ぐらい。


そうやって誘惑させて、私を追っ払おうとしてることなんか見え見えなんだから。


異常に絡んでくるのも早く私との旅を終わらせるための手段に過ぎない。


……そう頭では分かってるのにどうして顔を見るだけで、ドキドキしてるんだろう。


よく分からない感情に眉間にしわを寄せていると、フェイムが小さく笑う。