「俺はシェルアバド国王直属騎士団長、ジルゲイル・レオバルト。殿下より御下命を賜り、隣国アンゼリオとの国境付近の調査に参った」


「っ!!」


シェルアバド、貿易で大きく栄え軍事力も世界一を誇る大きな権力を所持する国家。


そんな国の予想外なお客人、しかも隣国の王家に遣える人にこんな形で遭遇するとは、本当に今日はついていないのかもしれない。


国の中でのいざこざがバレたとなれば……私だけではなく、アンゼリオとシェルアバドとの関係が変動する可能性だってある。


「あんたのとこの馬鹿王子が自分の私利私欲のためだけにあんたを駒として扱った結果、この現状だ。これは黙ってはおけないな」


「えっと?」


「直談判しにいく。リゼ、城まで案内しろ」


突然の申し出や出来事に、さっきからず〜っと頭が追いついてこない。


半ば考えることを放棄しているこの私に、誰か反応の仕方を教えてください。