どうせ投げかけられる言葉は私の事を忌み嫌うような言葉がやってくるに違いないが、そんなこと今はどうでもいい。


今はクリスタルなしに、この場をどうにか切り抜けなきゃいけないんだ。


ここで首を刎ねられて終わりなんてことになったら、何百年とダンジョンの結界を守ってきた歴代の聖女達に合わせる顔がない。



「クリスタルは確かに本物だったんです。それに聖女の力であなたの怪我を治しました……それが何よりの証です」



ゆっくりと立ち上がり、呼吸を整えた私は聖女としての誇りだけを胸に自分が白であることを言い放った。


真剣な眼でジルとフェイムの目を捉えて、ゆっくりと交互に訴えかける。


ジルの表情は何一つとして変わらなかったけれど、フェイムの目に何かが揺らいだ。


「虚ろの蒼白の夢 そこに繋ぐものはーー」



フェイムが紡いだその詠唱の続きを、私は何の迷いもなく続けた。