無理も無いのは十分承知だ、だって王族に遣える人間がなんでこんな場所にいるんだと理解するのも難しい話だし。


こうなる状況は経験済み、その対処法として私が唯一聖女である証として肌身離さず持ち歩いているのが、クリスタルのペンダントなんだから。


胸元からペンダントを取り出して二人にドヤ顔を決めて見せつけるようにクリスタルを差し出そうとした、ただそれだけの動きをしただけだった。




だけだったのに……。






「「「あっ……」」」





出会ってまだ数分という時間だというのに、綺麗に三人の声が重なりあった。


パリンッ……と静かに音を立て、地面に落下していくクリスタルの欠片の煌めきが妙に眩しい。



聖女の証……それが今先程の光の盾で身を守った時の衝撃であろうか、真っ二つに割れたクリスタルが突然静かにその身の最期を告げたのだった。