通りでそんな事を言ったわけだ……邪魔者は徹底的に排除しないと気が済まないタチの悪いお嬢様らしいわね。


どうやら厄介な相手を敵に回してしまったようだ。


「多くの名のある冒険者達と行って、やっと生きて帰って来れる場所に、お姉ちゃん一人で向かうなんて絶対に危ない。今からでも遅くないから、もう一回屋敷に行ってお願いしに行こう」


「行ったところで彼女が聞く耳を持ってくれるとは思えないわ。それに、ゼノ。貴方の弟を助けに行かなきゃ。屋敷の人達は、あんな風に頼れない人ってのが分かってるでしょ?」


泣いて頼んだ所でルリナさんは自分のいいように私を使って、蹴落とすということが丸わかりだ。


かと言ってジル達に助けを求めるのも、ルリナさんの癪に障る。


結界を張りに行く事とは別件で魔窟に入った所で、ジルと共に行動しているのを知られたら大惨事に成りかねない。


魔物を退治した経験は一度もないけれど、ドラゴンやミノタウロス相手に光魔法で対応した経験はある。


魔力が底をつく前に弟を探し出して粗方の道を把握しておけば、別日に再び入って簡易的な結界を張れば全て良し。


良しと言ったところで、順調にいくかどうかは自分の腕に掛かっているんだけど。