誤魔化さないでという気持ちを込めて目力を強めたけれど、その質問にはあっさりと答えを口にしてくれる。

「ああ、俺たち兄弟と優姫さんは幼馴染でもあるんだよ。俺は両親が離婚したとき父さんについて行ったから、関わってる期間は少ないけど」

 兄さんたちとは長い付き合いになるんじゃないかな? と表情からも厳しさを消し普通に話す眞白。

「……おさななじみ……」

 それならよく知っていてもおかしくはないのか、とストンと納得がいった。


 くすぶっていたモヤモヤが完全に消えたわけではないけれど、何だか気が楽になったような気がする。


「質問はこれで終わり?」

「え? まあ、とりあえずは」

 眞白の言葉に一応は、と頷くと「じゃあ行こうか」と促される。


「流石にホント急がないと料理作る時間が無くなるよ? 今日からは3人分じゃなくて10人分作るんだから」

「あ、そっか」

 そうだね、と言いかけて「ん?」と疑問を浮かべる。


「10人分? 8人分じゃなくて?」

 シェアハウスに住んでいるのはわたしを含めて8人だ。2人増えてる。

「10人だよ。俺と父さんの分もあるから」

 当然のようにそう言いながら歩き始める眞白に、わたしも足を進めて文句を口にする。